羞人たち


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優香 第八章 6
2010/06/10 09:38

 と、その間に二番目の生徒が読み終わり、とうとう優香の前の生徒が立ち上がって朗読を始めた。

 優香はまだスカートを穿いてない。それどころか、今はパンティすら失って、丸出しのお尻と、剥き出しの股間を晒しているのだ。隠すものなどなにもなかった。せいぜいノートくらいだが、そんなもの何の役にも立たない。立ち上がった瞬間にばれてしまうだろう……

 ようやく千夏のもとへ下着が届いた。しかし千夏はそれを受け取ってもスカートを回すそぶりなど見せず、優香を見つめながらただにやにや笑っているだけだった。

(なに……どうして……ねえ、なんで返してくれないの……)

 その時はっと気付いたのだった。罠だったのだ。最初からスカートを返す気など千夏にはなかったのだ……返すと見せ掛けて優香をさらなる窮地に、絶体絶命の状況に陥れるのが目的だったのだ。

 時間は冷酷に過ぎていく。やがて目の前の生徒の朗読が終わり、優香の番になった。

「じゃあ次あなた……ほら、どうしたの? 早く立ち上がって読みなさい」

 しかし優香は立ち上がれなかった。ほとんど泣きそうな顔で、何か訴えるように教師の方を見つめるばかりだった。

「どうしたの? どこか体の具合が悪いの?」
「あの……座ったままでいいですか?」
「どうして?」
「その、お腹の調子が……」

 するとその女教師は教壇を降りて、つかつかと優香の方へ歩み寄ってきた。

 ところでこの女教師とは、いつぞやプールの後の授業中、男子用の水着一枚の姿で現われた優香を散々な屈辱の目に遭わせ、ついにはその穿いていた水着を脱ぐよう命令し、素っ裸で、教室の前の廊下に立たせた、あの中年の女教師、岡野だった。

 岡野はあの水着の一件以来、優香のことを、まるで目の敵のように毛嫌いしていたのだった。恥ずかしげもなく普段穿いている優香の(いやらしい!)超ミニのスカートや、あのとき男子生徒の注目の的となった彼女の(挑発的な!)汚れを知らないピンクの乳首と豊かなおっぱい。それら優香のはちきれんばかりの若さと色気は、もう四十過ぎの、女としての盛りを過ぎたが、いまだ独身の、岡野の目には、堪らなく憎らしく映ったのだった。

 だからこのときも岡野は優香に冷たく詰め寄った。

「お腹の調子が? あなた、もしかしてまた何か善くないことしてるんでしょう、違う?」

 女の勘、というか嫉妬の嗅覚は鋭かった。岡野はやがて優香の目の前に来た。と、予想は的中した。

「田辺さんあなた! その格好はどういうこと! ちょっと立ちなさい!」
「いやぁぁぁ! 違うんです許してください!」
「いいから立ちなさい!」
「いやですそれだけは!」
「立たないと校長先生呼ぶわよ。あなたのご両親にも来てもらうわよ。それでもいいの?」

 もはや絶体絶命だった。優香は静かに椅子を引くと、とうとう立ち上がって、裸の下半身を教室中に晒した。

「隠すんじゃない! 手は横!」

 その瞬間すべてがあらわになった。わあっという歓声と、冷たい囁き声が教室にこだました。

 岡野は顔を歪め、憎らしげにその姿を上から下へ眺め回した。頭を包むいかにも運動部系の清純な黒髪。目鼻立ちのはっきりした、利発そうな、また男好きしそうな顔。高校のセーラー服を着た膨らんだ豊かな胸。そして、すらりと伸びる長い足と足の間の、何も穿いていない、裸の、まる見えになっている薄い毛と股間……岡野はまるで悪夢から覚めた人のように突然大声を張り上げた。

「あなた! 神聖な教室で、それも私の授業中に、なんてことしてんの!」
「違うんです! 先生聞いてください! スカートは……」

 と優香が言いかけたとき、遠くで一つ咳ばらいの音がして、見ると千夏が、恐ろしい目で優香を睨みつけていた。その目は語っていた。その先をもし続けたら、ブログのことをばらす、と……

 それで優香は黙らざるをえなかった。

「すげぇ! 優香ちゃんおま〇こ丸出しだよ!」
「恥ずかしくないの? みんなに自分の女性器みられて」
「頭おかしいんじゃない! そんな格好で興奮するなんて」
「変態! 露出狂! 女の恥!」

 優香はそれまで何とか泣くまいと、持ち前の気の強さを顔に見せていたが、もはやなすすべもなくなり、とうとう声を出して泣きじゃくってしまった。その姿はまるで叱られた小学生のようだった。

「泣いたって許さないよ! こんな人として最低なことしておいて! じゃあ、一応聞きますけど、どうしてですか? どうしてこんな格好をしてるんですか? あなたのお気に入りのあの短いスカートは? 下着は?」

 優香はもはやただ泣いているばかり、とても答えられる状態ではなかった。

 と、その時、突然千夏が立ち上がった。

「先生! すべての事情はあたしが知ってます」
「なに? あなた知ってるの? じゃあ説明して」
「実は田辺さん、この授業の前、更衣室でお漏らししちゃったんです。かなり我慢してたみたいで、スカートも下着も、それにブルマもびしょびしょで、とても穿ける状態じゃなかったんです。で、親友の私が、お漏らししたことはみんなには内緒にして、田辺さんのスカートと下着を、こっそり洗って乾かしといてあげることにしたんです。見てください! あれがそのスカートです」

 と、彼女が指差したのは、ベランダの手摺りに掛けられた制服のスカートだった。

「また、下着はさすがにベランダには干せないので、私が預かることにしました。これがそうです!」

 そう言って千夏は優香のパンティを高々と広げて見せるのだった。「もうだいぶ乾いてきました。まだちょっと湿ってますが(くすくす笑いが回りで起こった)……以上が事情のすべてです。田辺さんは別に悪気があったわけではなかったんです。ただお漏らししたのが恥ずかしくて、それを隠そうとして……」

 そう言うと千夏は言葉に詰まって泣いている様子だったが、横から見るとそれは笑いを必死に堪えているように見えなくもなかった。

「そうだったの……」

 と岡野は、千夏の迫真の演技に胸を打たれたらしく、感動した声で言った。

「そうだったの……あなたは優しい、友達思いの人ね……」

 そして今度は優香の方を向いて(まだ嘘泣きしてるわ!)冷たく鋭い声で言った。

「田辺さん、そうなの? あなたはお漏らしをして、それでこんなことになったの? いま聞いた話はすべてホントなの?」

 もはや優香の助かる道は一つしかなかった。

「はぃ……」
「はいじゃなくて、あなたは高校生にもなって、一体なにをしたの? ちゃんと言いなさい!」
「その……お、お漏らしです……」

 と、その時、告白と同時にまた激しく泣き出した優香は、もはや理性を失い、気が遠くなって、全身の力が抜けて……と思ったら突然、股間から一筋の液体が流れ出し、ちょろちょろ足を伝って落ちていくのだった。そしてそうなると、一度解かれた緊張はもう戻らず、足を伝っていた液体は、やがて勢いを増し、直接床に降り落ちるようになり、見る間に床は一面おしっこだらけになってしまった。

「うわっ! 汚ね! こいつ本当に漏らしやがった!」
「高校生にもなって教室で漏らすなんて、信じらんない!」
「いくら勉強がよく出来てもこれじゃあねぇ」
「小学校からもう一度やり直した方がいいんじゃないの? それとも幼稚園? オムツ穿いて」

 しかしこれで千夏の話の信憑性は確実なものとなった。

「田辺さん、あなたって人は……もう少し人としての、また女性としての常識を学ばないと、本当に今のままの最低の大人になりますよ!」

 優香はその後自分で片付けをした。彼女個人の漏らしたおしっこのためにクラスの雑巾は使わせられないと岡野が言って、また反省するための罰として、優香は自分の体操着のシャツで、漏らしたものを拭き取らされた。

 授業の残りの10分間、優香はさらに罰として下半身裸のまま、ベランダに立たされ、自分の下着を両手で広げて、みんなの方に差し出して見せたまま過ごさなければならなかった。優香は教室の中から聞こえてくる『お漏らしちゃん』とか『お漏らし優香』というからかいの言葉を絶望の中で聞き分けるのだった。

(漏らした……あたしが……高校生にもなって……みんなが見てる前で……おしっこを……)

 授業が終わると、ようやく下着とスカートを穿くことを許された。そしてその後何の処分もなく、帰宅することができた。ブログの発覚という、最悪の事態は何とか免れた形だったが、優香はそれと同じくらい多くの大事なものを失ってしまったような感じがするのだった。

 そしてその日のブログには、さっそく今日の出来事が書いてあった。更衣室で下着姿になり、そのまま教室まで行って、スカートなしのまま授業を受ける、そしてその授業中にパンツを脱いで、最後はお漏らし……誰かに強制されたとかそういうことは一言も書いてなかった。すべて自分が(つまり優香が)みずから望んでしたことだと、そうはっきり断言されていた。

カテゴリ:優香

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