羞人たち


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優香 第十章 1
2010/06/13 20:27

 一週間経った。体調はもうすっかり良くなったが、優香はまだ学校を休んでいた。(もう二度と……)と優香は思っていた。(二度と学校には行きたくない……)

 と、ある日の夕方、千夏が家にやってきた。母親は千夏を部屋に導きながら、

「心配してわざわざお見舞いに来てくれたのよ。しかもこんな大きなメロンまで持ってきてくれて……ホントに優しいいいお友達ね」
「優香ちゃん、大丈夫? 学校ではみんな心配してるよ。優香ちゃんに会えなくて、あたし、寂しくて寂しくて……」

 そして千夏は優香の手を優しく握るのだった。優香の母親は、その美しい光景に涙を滲ませつつ、そっと部屋を立ち去った。

 が、ドアが閉まった途端に千夏は豹変した。

「バッカじゃない! のんきな母親ね……」

 それから鞄から大量の写真を取り出した。

「それはそうと……ほら、できたよ。旅行中のあんたの写真。全部で百枚はあるかな。でもまだプリントアウトしてないのはもっとあるよ」
「いやっ!」

 優香はとても見ることができなかった。床にばらまかれた大量の写真……そのどれもが、旅行中の優香の醜態(スカートからノーパンのお尻が見えているところや、部屋で全裸で正座しているところ、公園で裸で斎藤に投げ飛ばされているところや、果ては本人の記憶にほとんどない、田崎とエッチしているところ……)などがあられもなく映し出されていた。

「DVDもあるのよ。見たい?」
「やだっ! 絶対見たくない!」
「この写真をいま、クラスの男子に売ってるの。1枚千円で……そしたらもう、売れちゃって売れちゃって」
「ひどい……」

 先ほど持ってきたメロンはそのためだったのか……

「さすがに斎藤くんと田崎のやつは売るわけにはいかないけどね……でも、1万なら売ってもいいかな」
「やめてそれだけは……」

 千夏の笑い声が冷たく響いた。

「ところでさあ、あんたなに生意気に寝てんのよ!」

 優香はベッドから降りた。

「もうどこも悪くないんだろ? なにずる休みしてんだよ?」

 優香は気まずそうに黙っていた。

「さも具合悪そうにパジャマなんか着て……脱ぎな! いますぐ!」

 優香は言われた通りパジャマを脱いだ。下着姿になると、その体は病気のためか少し痩せたように見えた。

「下着もだよ! 早くしろ! それとも母親に写真見せようか?」
「やめてそれだけは!」
「じゃあ早く脱げ!」

 優香は顔を歪めながら下着を脱ぎ、生まれたままの姿になった。

「相変わらず臭そうな体してんねえ」
「……」

 と、そこへ下から階段を上がってくる母親の足音がした。

「やだっ! ねえ、服着ていいでしょ? お願い、着させて!」
「ダメにきまってんだろ!」

 と言うと千夏は優香の下着とパジャマを奪い取ってしまった。

「やだっ! どうしよう恥ずかしい……」

 全裸のままうろたえる優香。

 と、母親がドアをノックした。

「メロン切ってきたよ」

 そしてドアを開けた。

 母親の目に娘の裸が飛び込んできた。生まれたままの、真っ白な体……

「どうしたのあんたそんな格好して?」
「あ、あの……そう、ちょうど着替てるところなの。もう、勝手に入ってこないで!」
「ごめんねぇ千夏ちゃん。うちの優香がみっともない姿みせちゃって……」
「いえ、もう見慣れてますから大丈夫ですよ」
「え、見慣れてる……?」

 優香は気が遠くなりそうだった。

「ほら、プールの着替えのときとか体育の授業のときとか」
「ああ、そういうことね!」

 と母親は納得すると、それから娘の姿をまじまじと見た。しばらく見ないうちにすっかり大人の体になっていた……胸はこんなに大きくなって、お尻もいかにも女性的に丸みを帯びている。またついこの前までつるつるだったところには、今はふっさりとした毛が……
「ちょっとママ! そんなにじろじろ見ないでよ、エッチ……!」
「別にいいじゃない親子なんだから……それともあんた、他に誰か見てもらいたい人でもいるの? あ、そういえば斎藤くん最近うちに来ないねえ。前はあんなによく遊びに来たのに……」

 一瞬さっと優香の顔が曇った。が、すぐに活気を取り戻すと、裸のまま、メロンの皿を受け取り、母親をドアの外へ追い出した。

「まあまあ照れちゃって! もしかしたらもう斎藤くんとキスでもしちゃったかな! あははは! じゃあ千夏ちゃん、どうぞゆっくりしていってね。それから優香、あたしちょっと買い物行ってくるから、お留守番よろしく」

 母親の上機嫌な鼻歌が階段を下っていく。

「斎藤くんとキスでもしたかな、だって! ホントのんきな母親ね。娘がいま学校でどんなふうに思われてるかも知らないで……」

 優香は母親がいなくなってほっとすると同時に、思い出したくないことを思い出して、ため息を吐くのだった。

カテゴリ:優香

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