羞人たち


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優香 第十二章 12
2011/03/10 08:54

 マイクが告げる選手入場のアナウンス。その合図とともに、門に集まっていた3年の男子生徒たちは一斉にグラウンドへ駆け出した。

 優香はその駆け出した集団のなかに紛れて、出来るだけ目立たないようにした。

 やがてグラウンドの両側に敵味方が別れる。笛が鳴らされ、全員騎馬の準備に取り掛かる。

「よし、じゃあ俺たちも組むぞ」

 と、優香と組むことになっている男子生徒が優香に言った。そしてすぐさま三人の騎馬が出来上がる。

「よし、田辺、できたから乗れよ」
「う、うん……」

 優香は歩み寄ると、騎馬の中央を走る二本の腕、つまり騎馬の座席に跨いで乗った。続いて足の裏を両側の繋がれた手の平に乗せる。

「よし、このまま立ち上がるぞ。バランス崩すなよ」

 すると優香を乗せた三人の男子が一斉に立ち上がる。と、片手で胸を、片手で短パンを押さえていた優香は男子の肩や頭などのどこにも掴まっていなかったので、その騎馬の急に立ち上がった衝撃で体勢を横に崩してしまった。

「きゃっ!」

 優香はとっさに腕を伸ばして目の前の男子の肩に掴まった。が、そのため隠していた彼女のおっぱいが両方とも白昼のグラウンドで丸出しになってしまった。

「いやぁっ!」

 と再び悲鳴を上げたがそれは最初のとは違う意味の悲鳴であった。

「おい、危ないからしっかり掴まってろよな! 頭から落ちて怪我しても知らねえぞ」

 そう本気で注意され、優香はやむなく両手で目の前の男子の肩に掴まって騎馬の立ち上がるのを待った。まる出しの彼女の大きなおっぱいが、熱気に包まれた男子生徒の集団のなかで、おびえるように小さく揺れた。

「お、田辺のおっぱい丸見えじゃん!」と、隣の騎馬から男子生徒の声が飛ぶ。
「相変わらずピンク色のキレイな乳首してんなあ!」
「ほらほら、しっかり掴まってないと危ないよ。恥ずかしがらずにもっとじっくりおっぱい見せてくれよ」
「ホントしゃぶりつきたくなるおっぱいだよな」

 優香はそんな露骨な言葉を掛けられて、恥ずかしさに耳まで真っ赤になったが、それでもまたバランスを崩したら危ないので、おっぱい丸出しの状態のまま、騎馬が立ち上がるまでは男子の肩にしっかり掴まっていなければならなかった。

(やだ……恥ずかしい……!)

 やがて騎馬が立ち上がった。立ち上がった騎馬の上は予想した以上の高さだった。その高みからだとグラウンドの遠くの観客席や、生徒席が完全に見渡せる。観客席に集まったたくさんの保護者、友人、知人たち。また生徒席から黄色い声援を送っている同級生、後輩の女子生徒たち……。つまり、こちらからこんなにはっきり向こうの人々の姿が見えるなら、同じように向こうからもこちらの姿がはっきり見えるはずだった。

(いやッ、みんな見ないで……! 誰もあたしに気づかないで……!)

 優香は騎馬が立ち上がるとすぐに再び胸を隠した。

「ねえ、もっとあっちの、列の真ん中の方に行ってくれない……?」
「なんでだよ、ここの方がいいじゃんか。あんな中央のごみごみしたところにいたら横から相手に挟み撃ちされんぞ」
「それはそうだけど、やっぱり、恥ずかしいから……」
「あ? なに今さら恥ずかしがってんだよ。もう朝からさんざん観客におま〇こ見せてきたじゃねえか。あのみっともないブルマーの切れ目から、ションベンまで洩らして……もう胸の一つや二つ見られたって別に恥ずかしいわけないだろ」

 その言葉に優香の顔は火が出るほど赤くなった。

(もう胸の一つや二つ……こんな大勢の観客の前で……恥ずかしいに決まってるじゃない……!)

「ねえ、お願い……スタートするまでの間だけでも、なるべく真ん中の方にいさせて。お願いだから……」

 優香はもうほとんど泣きそうな顔をして頼むのだった。

「ったく……しょうがねえなぁ! わかった移動してやるよ。でも、スタートのときだけだからな。スタートしてからは知らねえよ」

 優香はできればスタート後もずっと人込みの中に紛れていたいと思ったが、あまりわがままを言うと相手を怒らせてしまいそうなので、ここはとりあえず折れるしかなかった。

「うん、ごめんね。勝手なことばっか言って……」

 やがてグラウンド上の他の騎馬も次々と出来上がってゆき、段々と、競技開始の準備が整っていく。

 優香は腰から上が完全に突き出た騎馬の上で、不安げに、そのときを待ち構えていた。突き出た彼女の裸の上半身に、明るい秋の日差し、秋の乾いた風がまともに当たる。優香はもう一度自分の胸を見下ろして、乳首が腕からはみ出してしまっていないかを確認した。腕に押し潰され谷間の出来た大きな乳房……それは自分で見てもいやらしい映像だった。


 やがてピーッという笛の合図がスタートのときを知らせた。そして緊張と静寂の一瞬の後、ついにピストルが鳴らされ、騎馬戦がスタートした。

 ダーッと一斉に敵陣に突き進んでいく味方の騎馬たち。グラウンドの向こうからも、たくさんの騎馬がこちらへ勢いよく駆けてくる。

「よし、俺たちも行くぞ!」という男子の声とともに、優香たちの騎馬もスタートして走り出した。

カテゴリ:優香

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